よみがえる長崎ながさきの町まち

原爆げんばくがおとされたあとの浦上うらかみ地区ちくは、焼やけ野原のはらとなり、ほとんど何なにも残のこっていませんでした。また、この地ちにはこれから７０年ねんの間あいだ、草木くさきが生はえないだろうと言いわれていました。しかし、９月くがつに入はいると、かすかに草木くさきが芽めを出だし始はじめ、その下したには、虫むしたちの姿すがたがありました。人々ひとびとは、生いきる希望きぼうを見出みいだしました。

やがて人々ひとびとは、壊こわれた建物たてものの木材もくざいなどを集あつめて、ねおきができるほどの小屋こやを建たて住すみ始はじめました。１９４６年ねんになると、市営しえい住宅じゅうたくも建たち始はじめ、町まちは少すこしずつ活気かっきを取とり戻もどしてきました。

原爆げんばくによりおそろしい体験たいけんをした長崎ながさき市民しみんは、何なにより平和へいわへの強つよい願ねがいをもっていたので、「平和へいわは長崎ながさきから」を合言葉あいことばに、国際こくさい文化ぶんか都市としをめざして町まちづくりがはじまりました。

まず１９５５年ねんに「平和へいわ公園こうえん」ができました。この公園こうえんの一角いっかくに「国際こくさい文化ぶんか会館かいかん」（現在げんざいの原爆げんばく資料しりょう館かん）を建たて、原爆げんばく資料しりょうを展示てんじし、見みに来きた人ひとに原爆げんばくの恐おそろしさと平和へいわのとうとさをうったえました。

また、１９５１年ねんから５ヵ年ねんの歳月さいげつをかけて、この公園こうえんのシンボルになる「平和へいわ祈念きねん像ぞう」が建たてられました。この像ぞうは、世界中せかいじゅうの平和へいわを願ねがう人々ひとびとの寄付きふ金きんによって建たてられました。

戦後せんご、生いき残のこった人ひとたちは、原爆げんばくで亡なくなった家族かぞく、親したしい友人ゆうじんたちを偲しのび、あちこちで、慰霊いれい祭さいを行おこないました。最初さいしょのころは、自分じぶんたちの住すんでいる町内ちょうない会かいや学校がっこう、職場しょくば単位たんいで行おこなわれていましたが、被爆ひばくから３周年しゅうねんを迎むかえた１９４８年ねん８月９日には、長崎ながさき市しが主催しゅさいして、爆心ばくしん地ち松山まつやま町まちで文化ぶんか祭さいと慰霊いれい祭さいが行おこなわれました。翌年よくねんの１９４９年ねんの慰霊いれい祭さいでは、当時とうじの大橋おおはし博ひろし長崎ながさき市長しちょうが、「平和へいわ宣言せんげん」を行おこないました。その後ご、１９５２年ねんに「原爆げんばく犠牲ぎせい者しゃ法要ほうようならびに平和へいわ祈念きねん式典しきてん」として全市ぜんし的てきに一本化いっぽんかされ、現在げんざいに至いたっています。