米国とインドの原子力推進政策に係る日本政府の取り組みについて(要請)

2006年12月14日

内閣総理大臣
安倍 晋三 様

長崎市長 伊藤 一長

 本年11月、米国議会は、原子力協力促進法案を可決し、これまで禁じられていた米国からインドへの核燃料、核関連技術などの輸出が、米印原子力協力協定に基づいて可能となろうとしています。
 インドはNPT体制を否定して核兵器の保有に至り、国連安保理の決議においても、核兵器の廃棄とNPTへの加盟を強く求められ、国際社会から長く経済制裁を受けてきた経緯があります。
 米印原子力協力協定においては、民生用の原子炉は国際原子力機関(IAEA)の査察を受けるとのことですが、軍事用のプルトニウム生産炉と高速増殖炉は、査察の対象外と伝えられており、事実上、インドの核兵器保有の容認に等しい結果を招くことが懸念されます。また、北朝鮮やイランなどの核兵器開発に口実をあたえるばかりではなく、NPT体制そのものの形骸化も危惧され、今後、世界の核兵器廃絶の取り組みの大きな支障となることも考えられます。
 原子力協力促進法案の施行にあたっては、国際原子力機関(IAEA)や原子力供給国グループ(NSG)による承認を要件としており、特に原子力供給国グループの承認は各国の全員一致が原則とされ、事務局でもある日本政府の対応は大きな影響力を有しておられます。毎年、日本政府は国連において「核軍縮決議」を提案され、総会では世界の170カ国あまりの圧倒的な支持を得て議決されており、被爆国として核兵器廃絶の取り組みを続けてこられました。
 日本政府におかれましては、これまでの核兵器廃絶の取り組みに矛盾することなく、インドに対して、NPT加盟を粘り強く促し、包括的核実験禁止条約(CTBT)への加盟を求めるとともに、国際原子力機関(IAEA)や原子力供給国グループ(NSG)による承認にあたりましては、被爆国として慎重な対応をなされますよう要望いたします。