原爆による被害

B-5 熱線による被害

『熱線の検証』『熱線による物的被害』『火災による被害』『熱線による人的被害』を被災資料や写真などで説明しています。

 

熱線の検証

火球から放出された大量の熱線は、爆発から3秒ほどの短い時間に、異常な高熱で地上を包んだ。地表面の温度は爆心地で3,000度から4,000度、1キロメートル離れたところでおよそ1,800度、1.5キロメートル付近で600度以上に達したものと推定される。これが大規模な火災を引き起こした。熱線が届いた距離は浦上地区の地形と関係するので一様ではない。しかし、その影響は遠くまでおよんで、爆心地からおよそ4キロメートル離れたところでも、屋外にいた人は熱傷を負うほどだった。

 

熱線による物的被害

爆心地の近くでは、熱線のすさまじいエネルギーによって、燃えるものすべてが火をふいた。溶けたガラス、沸騰して泡立った瓦、焦げて黒くなった石などが、その激しさを物語っている。爆心地から遠ざかるにつれて熱線は弱まるが、それでも2キロメートル以内では衣類、電柱、樹木などの表面が燃えたり焦げたりした。

 

火災による被害

 熱線と爆風による被害は、火災によってさらに増大した。爆風の被害が家屋の半壊程度ですんだところも、後で起きた火災のために結局全焼した。全焼壊家屋12,900戸、半焼壊家屋は、5,509戸にのぼっている。火災は、犠牲者の数も増大させた。倒れた家の下敷きになっても、火さえ来なかったら、外傷だけで助かったはずの人が、きわめて多い。

 

熱線による人的被害

 熱線のわずか数秒間の高熱は、人々の皮膚にあびせられた。熱線のすさまじさは通常の火傷では考えられない被害をもたらした。爆心地からの距離により負傷の程度は異なるが、重傷になると表皮は焼けただれてズルズルとはがれ落ち、皮下の組織や骨までが露出した。1.2キロメートル以内では熱線だけでも致命的であり、爆心地付近では、あまりの高熱に一瞬のうちに身体が炭化し、内臓の水分さえ蒸発したと考えられている。